最新情報    お知らせ    交流ひろば    YOKOSO to Funabashi    掲示板    日本語教室    姉妹・友好都市    国際交流協会    リンク


塩田悦三郎

  1. お先真っ白

サンチャゴの冬はスモッグが凄い。朝起きていつものように窓越しに雪に覆われたアンデスを見ようとすると見えない。「お先真っ暗」ではなく「お先真っ白」だ。これはスモッグのため。サンチャゴの冬はスモッグがひどいということは来智する前から聞いてはいたがこんなにひどいとは思わなかった。

サンチャゴはどちらかといえば盆地。東側のアンデス山脈はアルゼンチンとの壮大な壁だが、他は低い山がサンチャゴを囲んでいる。夏でも冬でもほとんど風が吹かない。


雪に覆われたアンデス。アンデスの山々を見れば心が和む
2004年8月5日撮影。


スモッグでアンデスが見えなくなってしまった
2004年8月11日撮影

風がほとんどない証拠にマンションのベランダやビルの屋上には木々が生い茂っている。日本のように台風があったらあのように建物の上で緑を育てることはできないだろう。


煙を出しながら走る「黄色い悪魔」
市民も困惑顔
2004年8月12日撮影

スモッグの元凶は、例の「黄色い悪魔」(本レポート1、9参照)だ。バスの後部に直径20センチ位の煙突があってそこから黒い煙を出して走っている。もちろん一般の車や工場もスモッグの原因。アンデスの山が見えないだけならがまんできるが、子供たちの気管支系統の病気が多発する原因となっているのは問題だ。このことはテレビでも頻繁に取り上げられている。

チリは開発途上国なんかではないと思える点が多々あるが、ことスモッグに関しては開発途上国丸出しだ。政府は無策ではない。天気予報を基に、その日の車の使用規制や工場の操業停止を命じている。車の使用規制は、触媒装置の有無による規制とかナンバープレートの末尾の数字によって使用可・不可を命じている。2、3年後にはすべての車が触媒装置をつけなければならない法律もできている。しかし市民の大半はその実現性を疑問視している。

サンチャゴと自然との問題はまだある。雨が降らないいわゆる乾期がおそろしく長いことだ。来智後約10ヶ月が経ったが「雨が降った」と思える日は数日に過ぎない。日本からチリに来た女性の間では,この乾燥対策が重要のようだ。お肌がかさかさになってしまう。いい点もある。洗濯物がすぐ乾くことだ。日本では冬や梅雨時には洗濯物がなかなか乾かない日があるが、こちらでは皆無。

これだけ雨が降らないと、たまに降ると大騒ぎ。サンチャゴの南部・西部では排水設備が未整備だからいたるところで冠水騒ぎが起こる。こちらでは自転車の前に日本の「リヤカー」をつけた運搬車(トリシクロ)があるが、これが大活躍。冠水していないところまで人を運ぶ商売に早変り。こんな状態だから、雨の降った翌日には、会社に「浸水したので休ませて下さい」という電話がかかっても不思議ではない。いつでもどこでも庶民はしたたかだ。

人間が自然との闘いをどこまでやるかは難しい問題だ。しかし、冒頭のスモッグはサンチャゴの地形が原因でなくて、排気ガスが原因。石原慎太郎並みの強力な規制が待たれる。このままでは病院が繁盛するだけだ。

  1. 日本道花盛り


お茶会
04年5月24日合気道道場にて開催。
約50人のチリ人が参加。

サンチャゴ、いやチリでは「日本道」が盛んだ。「日本道」とは、「空手道・柔道・合気道・剣道・居合道・杖道」などの武道全般、ならびに「茶道・書道・華道」などの伝統芸術も含む総称。どのくらい盛んかといえば、こちらが日本人だとわかると若者の4人に1人くらいは「空手」・「柔道」・「合気道」という言葉を使って話しかけてくる。なかには、「空手」の構えをみせるものもいる。「ラ・セレモニア・デル・テ(お茶会)」に出たことのある若者、「最後の侍」を10回見たという豪の者、盆栽をチリ人の先生から学んでいる若者等々。

チリでの武道人口を調べてみた。総人口3万人弱。内、空手1万5千人、柔道6千人、合気道1千人、剣道3百人、あとは居合道その他である。入門してもすぐやめる人もいるし、一人で複数の武道をやっている人もいる。おおよその傾向値として捉えていただきたい。武道の中で「剣道人口」が少ないのは、用具にお金がかかるかららしい。

この人気は、テレビの「アニメ」の影響が多分にある。ケーブルテレビで、一日中アニメや映画を上映しているチャンネルがある。その8割近くが日本の番組。となると、「空手」や「忍者」の出番。小さな子が空手の構えをして遊んでいるのを何度も見た。日本道とはいえないだろうが、「すし」という言葉はチリでは定着している。ただし、日本料理は「高い」ので他の料理と同じ頻度で楽しむわけには行かない。つい最近、チリ人の招待を受けた。「さしみが食べたいですか」と尋ねられて思わず苦笑。

 


合気道
03年12月12・13日国立競技場にて開催。
      講師は、仏人クリスチャン・ティッシェル7段
参加者は約150名。


空手道
市中の体育館のフロアーを借りて組み手の練習
空手は20〜30人程度の少人数で、体育館の一部を利用しての稽古が盛ん

日本文化の普及は望ましい。このままいけば、日本とチリとは将来にわたって争いが起きることはなさそうだ。ただチリ人がどこまで日本文化を理解しているのかは疑問。例えば、合気道。東洋の神秘性を求めること自体、悪くはない。でもそれだけでは困る。合気道は、相手の心理的・肉体的弱点を攻め、さらに力学を応用して相手を倒したり、抑えたりするのが基本。かなり合理的だ。もちろん厳しい稽古は不可欠。念じるだけで相手が倒れ、神を信ずれば達人になれると思っている人がいやしないかと心配だ。

こちらでは漢字がたいへん人気がある。刺青やTシャツに漢字がよく使われている。

漢字といっても中国の簡体字が多く使われている。あるとき、生徒が日本の新聞を手に入れたと言って私に見せてくれた。それは中国の新聞であった。多くのチリ人にとって、中国・日本・韓国は同じように見えるらしい。現在では、国籍にあまり拘る必要はない。しかし、それぞれの国の文化を正しく理解することは必要だ。

これからチリへ来られる日本の皆様。日本道のどれかひとつで結構ですから、知識を携えて来て下さい。それだけでチリ人との友好関係が醸成され、楽しみは倍増することを請 け合います。漢字が印刷されたハンカチとかTシャツをプレゼントすればもっともっと親しくなれるでしょう。


書道教室
04年5月24日合気道道場にて「お茶会」に先立って開催
揮毫しているのはチリ合気道連盟会長のホルヘ・ロホ氏

チリに渡り、日本語を教えているWebマスタの友人、塩田悦三郎さんが、知人のメールマガジンに投稿しているサンチャゴレポートという記事を、そのメールマガジン「609studio( http://www.609studio.com/home.html )」とご本人の了解を戴き転載させて頂いているものです。