シャーロット・ワイツ と ジェイコブ・アントヴォルスコフ

オーデンセ/コペンハーゲン出身のシャーロット・ワイツとジェイコブ・アントヴォルスコフは、国際交流室と地元国際交流団体に手配してもらい船橋を訪ねました。

2002年9月、著述家兼民話研究家、シャーロット・ワイツと教師、ジェイコブ・アントヴォルスコフは、日本への旅に出ました。この旅行でのハイライトの一つは、船橋を訪れ国際交流団体の非常に親切な方達に会うことでした。

私たちは、外国に行きその国の人々がどのように暮らしているかを見るのが楽しいのですが、もっと楽しいのは、人々に話しかけ、知り合うことです――殊に、日本では、知り合うことが大変に重要です。というのは、その文化的な規準を理解するのはヨーロッパ人には大変難しいからです。

船橋訪問は、私たちが抱くあらゆる疑問について現地の人に尋ねることを可能にしてくれました。船橋の人々と、大変美味しい食事を頂き、色々なことについて話し合うなかで、日本人とデンマーク人が共有するものを見つけました――両国民が共に、小さな可愛らしいものを好むこと。そして、両国民共、品質の良いものを好むということです。

船橋でアンデルセン公園と梨園を訪れました。一晩泊めて頂いた田嶋家で素晴らしい夕食を頂きました。田嶋氏のスポーツ用品店とスポーツセンターを訪ね、市内の他の場所も短時間でしたが見学しました。

 

私達の日本の第1印象は、日本人は大変礼儀正しく優れた美的センスを持っているということでした。例えば、アンデルセン公園を訪れるとき、私たちは大変心配しました。至る所、プラスチック製の物で埋めつくされた、アメリカのわざとらしい遊園地のようなものではないかと考えました。しかし、そうではありませんでした! 公園は、正に、ひとつの芸術品で、木材、花、水、土、石などの適切な材料で丁寧に作られておりました。日本人は、子ども達が自然や歴史、美しいもの、そしてそれらから産まれる想像力に接することが大切だと考えているように思われました。彼等は、子ども達に安っぽい物を押しつけたりしないのです。

このような考え方や生活の仕方を示すもうひとつの例は、三重県を訪れ松阪牛を見たときにもありました。アメリカでは、ヨーロッパの多くの所でもそうですが、食べ物の量がその質よりも重要です。松阪牛は大変な手がかけられております。それゆえ、ほんのちっぽけな一切れでも極端に高価なものです。しかしこの牛肉はそれほどに美味しいのです。ほんのちっぽけな一切れで、美味しい食事が十分楽しめます。

同様な例は、船橋で訪ねた梨園にもありました。この梨は高価なもので、ヨーロッパでこれを買う人が居るとは思えません。しかし、この梨は、それはそれは大変美味しいものでした。私たちには、日本人は単に体で食べるばかりではなく、その全精神でも食べているように思いました。これは、健康に良いに違いないと思いますが、一方で、不健康なファーストフードが日本の若い世代ではますます利用されているようでもあります。

デンマークやヨーロッパと比べて日本が異なるもうひとつの点は、日本人が大変礼儀正しいと言うことです。大多数のデンマーク人とは違います。デンマーク人は緊張が解かれ、格式ばらないことを好みます。日本訪問の後、もし、船橋の友人達がデンマークを訪ねてきたら、どういうことが起こるだろうかと大変心配になりました。彼らは、デンマーク人は無教養で、粗野だと思わないだろうか?デンマーク人と日本人の最も大きな違いは、礼儀正しさのありかたにあります。デンマークで、列車の車掌や集札係が車両に入るときそしてまた、立ち去るときに礼をすることなど絶対にありません。改札出口で集札係が礼をし、「ありがとうございました。ありがとうございました」を叫ぶのを見ることは絶対ありません。スピーカーから四六時中「ありがとうございます」や「済みません」がきこえることも決してありません。そして、何処へ行っても、微笑みを浮かべ、進んで援助しようとするあれほど多くの人に出会うということも決してありません。

しかし、一方、この礼儀正しさがあれほど大量の騒音を出しているというのも大変奇妙に思われます。人々は「済みません」と、実際叫んでおります。そして、叫び掛ける人が誰もいないところでは、スピーカーが「ありがとうございます」あるいは他のもてなしのことばを叫んでおります。殊に、バスや列車の中ではたくさんのやかましい丁寧な情報が流れております。デンマーク人としての私たちには、この喧しい親切なサービスは公共の場に於ける公害のように感じます。実際問題として、デンマーク政府はあらゆる種類の騒音を最小にするよう多くのことを実施しおります。デンマークでは、騒音は公害と見なされ、取り扱われております。

日本には、我々が理解できないようなたくさんの慣習があるように見えます。それゆえ、日本に滞在することが難しくなることもあり得ます。何故なら、何か間違いをしたときそれを知ることが簡単ではないからです。しかし、一方、人々は礼儀正しいので旅行するにはとても心地よい国です。列車は常に時間通りに走っていますし、人びとは、すすんで援助しようと面倒を見てくれます。そして、何百人も人が居る駅のような場所に居ることも不快ではありません。人びとは押し合ったり、叩き合ったりしません。犯罪も大変少ないようです。滞在中危険を感じたことはありませんでした。

しかし、助けてやろうという気持ちが余りにも強すぎる人にしばしば出会います。日本人は、物事を否定することや「いいえ」というのを大変気にするようです。道で、お城へ正しく歩いているかを尋ねたとき、彼は微笑んで「ハイ」と言いました。こちらの質問を分かってくれたのか確かでない場合、別の方向を指して、お城はこっちかと訊くことは出来ました。もし、彼が、再び「ハイ」と言ったら、別の人を捜して訊ね直さねばなりません――ただし、彼の感情を害さぬよう、彼が最初に指した方向に、彼に私たちが見えなくなるまで歩いて行かねばなりませんでした。これは、最悪の礼儀正しさです。何故なら全然役に立たないのですから。 

私たちは、昔ながらの旅館が好きです。旅館は、非常に伝統的な建物で、色々魅力的なことがあり、そこで働く人たちと密接なつながりがあります――そしてかなり安くもあります!

しかし、ある日、地元の方と会合を持ちました。彼は、私たちが泊まっている、とても素敵な、昔ながらの、大変伝統的な旅館に私たちを車で迎えに来ました。一日中私たちと過ごした後で、彼は私たちにこう訊いたのです「あんた方、今泊まっている所、本当に好きなの?」――彼は、もっと最新の宿泊施設の方が好きだろうと思ったのです。しかし、まったく逆です。最新の西欧式 標準というのは世界中何処も同じです(日本は、多分、デンマークより少し良いでしょうし、少し値段が高いでしょう)ので、それは私たちにとって、旅行して見つけたいものではありません。

日本人は何でも新しいものが素晴らしいと思っているように見えます。しかし、日本には、建物、食べ物、風呂、手洗い等々、日本人が知っておいて良い伝統的価値がたくさんあります。日本人はこのような小さなものを、城郭や寺院同様、国宝として保存し、自国の最高、あるいはその次に良いしきたりとして登録しておくべきかも知れません――知らない者には、日本人は、建物を、 当時のままに保存するのに大変熱心なように見えます。保存されないと日本人自らが進歩という名の下にそれを破壊してしまうと心配する人が居るのかも知れません。

食べ物

食べ物に関して:レストランの前に食べ物が展示されているのは私たちには大変不思議に見えます。これまでこのようなものを見たことがありませんでした。それで、美食家の質について少々心配になりました。誰が、食べ物がどうあるべきかを決めているのだろう?――厨房の料理人?それとも蝋細工製作所のプラスティック・デザイナー?――私たちには蝋細工製作所が食べ物がどうあるべきかを決め、料理人が蝋模型のように料理しているように思われました。しかし、美味しそうに見えるからというだけで美味しいと言えるでしょうか。私たちが食べたものの殆どが大変美味しいものでしたので、わたし達は、二つの有りそうな結論を出しました。

1.         美味しそうに見える食べ物は美味しいのかも知れない

2.         蝋細工製作所は料理人を雇っているのかも知れない。

もうひとつ日本で不思議なことは人びとが大変よく働くと言うことです。デンマーク人は少なくとも3週間の休暇を取るし、もし、お金か休暇かを選べるなら、彼等は、当然、休暇を選ぶでしょう。もし休暇中なら、上司からの電話など望みません。

日本を旅行するのは、これまでの人生で最も面白い経験のひとつでした。私たちにとって、日本は大変異国情緒溢れて見えます。日本人も、デンマークも大変異国情緒溢れていると考えるだろうと思います。アフリカの小さな村の人でも日本のように白人を見て騒ぐことはありません。ヨーロッパでは町中で、白人ばかりでなくたくさんの違った人を見掛けます。その点、日本はヨーロッパに比べ極めて閉じた国です。ヨーロッパには多くの難民か居ますし、外国人と結婚人も居ますし、アジアや南米やアフリカの子どもを養子にするカップルも居ます。

しかし、私たちはそれが大好きです。日本のように違った国を旅行すると、自分の国の文化がどのようなものかが本当に分かります。私たちは日本の色々なものが本当に好きなのでデンマークに持って行きたいと思います。健康的な食べ物、礼儀正しさ、時間通りに走る列車、美しい寺院や庭等々。ジェイコブは東京の電気街 (秋葉原)全体、そして、幻想的な最新建築のすべてをコペンハーゲンに持って行きたいと思い、シャーロットは美しい禅寺の庭の全て、寿司店、日本の梨2個をデンマークに持って行きたいと思います。

敬具 シャーロット・ワイツならびにジェイコブ・アントヴォルスコフより