山田紀美

中国語講座「あすなろ会」(小室町)は「人民日報」の記事を教材に取り入れ学習に活用しております。そのなかの掲載漫画を題材にして、今までに漫画表題集、「露一小手(ちょっとお見せします)」と「手心痒痒(手も心もむずむず)」を作成しました。この他に笑い話を題材にした「別我的嘴(笑い声がうるさいわ)」も制作しました。

第1作品「露一小手」の制作に際し、私達が「人民日報」に送った礼状に対して、当新聞が私達の学習意欲と日中相互理解の努力への賛辞を新聞紙上に掲載したことは(1999年12月17日海外版)以前このホームページの交流広場で紹介させていただきました。

更に第2作品「別我的嘴(笑い声がうるさいわ)」(左の絵をクリックすると大きな画像で見られます)発行の際も、第2作品制作を報告した手紙文で「露一小手」に関する記事掲載について私達の感謝を述べて、それを編集部に送ったところ、それに対しても編集部は再び 2000年6月16日付けの新聞紙上(左の文字をクリックすると紙面が見られます)で、私達が当新聞を学習に活用していることへの彼らの謝意と私達の活動への激励文を、私達の手紙文とともに掲載しました。

そして第3作品「手心痒痒(手も心もむずむず)」についても2001年2月16日に読者来信欄に私達の新聞の引用承諾への礼状が全文掲載(左の文字をクリックすると紙面が見られます)されました。私達の全作品に関しての記事を毎回新聞紙上に掲載していただき、私達の努力が評価されていることを喜ぶと同時に、こんな小さな学習活動が国際友好のための一助になったことを実感できたいへん嬉しく思いました。

漫画表題集は漫画に独自の題を中国語と日本語で付けた作品集です。出来上がった作品は、原作者の漫画の面白さは勿論ですが、それぞれの作品に私達一人一人の発想や感性、着眼点の違いが表れ、たいへん興味深いものとなりました。

この作業を通じて得たなによりも大きな成果は、人々の喜怒哀楽の感じ方やユーモアのセンスは文化が違ってもそんなに相違がないことが実感できたことで、今まで遠い存在であった未知の文化の人々に親近感を感じることができたのはほんとに大きな収穫です。

ご紹介したい傑作な表題はたくさんありますがが、今回は第一作品漫画「露一小手」の中からいくつかを選んで、皆がどんな表題を付けたかを紹介します。あわせてこの本の制作者及び監修者の「あすなろ会」講師・王冰氏の更に深い洞察と機知に富む解説もお楽しみ下さい。

これらの本は船橋市国際交流室と小室公民館図書室で閲覧できますので、皆様も発想の違いを見比べ、独自の題を考えてご披露いただければ幸いです。   

作品1−1、 高木省三さん 「馬の世界・・・人投げ競争」

解説:高木さんの思考経路は皆と違っています。私達は皆通常、人の立場から問題を考えますが、巧みに角度を変えて、馬の立場で漫画の内容を解釈しています。あなた方人間に、砲丸投げの様なスポーツ種目があるのなら、我々馬は何故人を投げる競技が出来ないのでしょうか?

  1−2、 大矢裕さん  「騎手の障害物競走」

  1−3,  菅沼節子さん 「慌て者」

  1−4,  中山映子さん 「私が飛びます!」

  1−5, 及川黎さん  「あなたがお先にどうぞ!」    

作品2−1,大矢 裕さん  「彼を歯医者に行かせてください」

解説:この、人を咬んだ拳闘選手は咬んだ部位はわずかに違うけれども、マイク・タイソンと同類です。タイソンは自分の歯で相手の耳を咬んで、故意の妨害罪を犯しました。しかしこの拳闘選手は入れ歯で咬んだのだから、ここは罪を他になすりつけることが出来るでしょう。彼の相手はやむなく泣き寝入りせざるをえません。しかし、見てください。大矢さんは彼の相手に替わって「彼を歯医者に行かせてください」と主張して、彼に第一回反撃を加えました。  

  2−2、高木省三さん 「年齢制限してください」

解説:人を咬んだ拳闘選手の行為については、善良な高木さんはこれを犯罪行為としていない。もしかすると、この咬んだ拳闘選手の拳闘の実力があまりに低いため噛みついた歯全部が欠け落ちてしまったのかもしれない;あるいは彼は既に年をとっているので、今の彼には入れ歯を使って最後の腕前を見せることしかできなかったのかもしれない。スポーツのモラルを守り、公平に競技を進行させ、同時に双方の身の安全を護る為に、確かに試合は年齢を制限しなければならない。

  2−3中山映子さん「彼はどこが勝ったといえるのか。彼の入れ歯の勝利だ」

解説:中山さんは、人を咬んだ拳闘選手の不道徳な勝利を短い言葉ででいい表している。この厳然たる事実の前では、違反者は只、頭を下げて過ちを認めるのみである。誰が勝ち、誰が負けたかはおのずと明らかである。  

作品3−1,玉井良江さん 「音が揃ってない!」

解説:運の悪い楽士達の頭は全部鼓手に叩かれこぶができましたが、只一人、利口者がヘルメットをかぶりようやく難をのがれました。頭を叩く音とヘルメットを叩く音は当然同じではありません。玉井さんは利口な人のやり方を気に入っています。

  3−2,蒲生郷昭さん「ヘルメットも楽器?」

  3−3,高木省三さん「鍛冶屋出身ミュージシャン」

  3−4,菅沼節子さん「私は何時までも安全だ!」(私の出番はない!)

解説;菅沼さんはこの人が「自分がヘルメットをかぶって安全確保することを自慢している」と思っているので、「私は何時までも頭が打たれる人の順番の中には入れないだろう!」と考えていると解釈しています。  

作品4−1,菅沼節子さん「夫の地位はたいへん軽くなった」

解説:菅沼さんの作品は人の本質が分かる現象をよく表しています。あの亭主は怠け者だと勘違いしてはいけません。彼の妻は体格も彼より勝っているばかりでなく、更に重要な事は、彼女が家の中のリーダーであることを知らねばならないことです。だから彼に許されている唯一の事は、新聞を見て、世界や国家の大事に関心を持つことが出来るだけです。それどころか家の中では、“リーダーがどんな事でもやる”といったらやるまでやらせなければなりません。日本にも中国にもこの普遍的に続く社会現象を形容しているエレガントな言葉があります:“母老虎”と“嬶天下”。

  4−2,後藤智子さん作「掃除は女性だけの仕事ではありません」

  4−3,松木裕子さん作「結婚後20年……

  4−4,及川黎さん作「妻がご主人様」    

右の漫画をクリックするとジャズのスタンダード曲「Take Five」が流れます。この曲はデ−ブ・ブルーベックが創作したはじめての変拍子の曲で3拍子と2拍子のリズムが交互に連続するリズム構成です。通常音楽は2,3,4,6拍子・・・など同じリズムで進行していきますが、彼は交互に拍子を変えるという“コロンブスの卵”のような新鮮な発想で、すばらしい曲を作りました。「Take Five」とはミュージシャン用語の「5分の休憩」という意味で、「5拍子で」の意味も含んでいます。皆さんならこの漫画にどんな題をお考えですか?

私達はこの漫画課題で柔軟な発想の訓練と、そして広い視野の思考を身につけたいと思っています。次回は、第2漫画表題集「手心痒痒」を紹介したいと思います。