韓 森


王府井通り

久しぶりの故郷・北京 

去年の年末、私は子供を連れて久しぶりに故郷北京に帰省しました。北京の変化が私の想像をはるかに超えたものであろうとは思いませんでした。

まず、北京は全く新しい雰囲気です。空港から市内を結ぶ高速道路の建設は市内までの時間を2分の1以上短縮しました。新建築の高層ビルが道路の両側に立ち並び、その建築スタイルも多種多様です。たくさんの高架橋が2環、3環、4環の道路を連接しています。王府井通りは夜じゅう照明が灯り、長安街のビルは皆色彩豊かな装いです。地上のゴミは少なくなり、タクシーも到るところに見られます。人々の服装の色も文化革命時代の藍や緑から色とりどりの色彩に変っています。街の公園では気功の鍛錬や、太極拳の練習、社交ダンスなどの活動が大変増加して、これまで暇でのんびりしていた人々は、今は緊張して忙しそうです。早朝の屋台、終日の自由市場、古い北京の街に生き生きとした趣がたくさん加わりました。


北京旧市街

次に電子通信の発達の速さに驚かされました。学校で子供達はコンピューターの授業があり、街にはパソコンスクールの生徒募集の広告がいつも見られます。インターネット取引、ネットチャット、若者達のネット上の恋愛も増加しています。資格取得を目指している夫の妹は、専門科目の試験以外に、コンピューターと英語で試験の難関を突破しなければならないといっていました。このため仕事が終わった後にまた夜学で補習をする必要があるようです。

携帯電話は既に連絡用具として不可欠なものとなっています。商店の中、電車の中、車の中、時々電話の音が鳴り響いています。少しうるさいけれども繁栄の光景として愉快なことと考えましょう。8年前には我が家に電話はなかったのに、今では携帯電話にファックシミリを加え4台の電話が一斉に鳴る時は大騒乱です。一瞬、どの電話を先にとったらいいのか分からなくまごまごしてしまいます。

テレビの番組も何倍に増えたかわからないほど豊富です。以前はただ中央テレビ局、北京テレビ局、それに地方局などの数局しかありませんでしたが、現在は数十チャンネルあります。英語の番組、外国映画、中国の古典作品やミュージカル映画も毎日放映しています。

新しい建築物、コンピューター、携帯電話、タクシーが増えたことの他に、家を買う人が増えました。今までは雇い主が支給した住宅に住んでいましたが、この制度は改正され、人々は現在住んでいる家を優遇価格で買えるようになりました。たくさんの優遇条件があり、主なものとしては、工齢と教齢(今まで働いてきた期間や教える仕事をしてきた期間)に応じての優遇があります。それらが長ければ長いほど今住んでいる住宅を安く買えます。以前中国人が物を買う時、多くの場合お金を貯めてから買いましたが、現在は借入れ金で家を買う人も多いです。自動車を買う人も少なくありませんが、常に交通渋滞があるため、通勤は主に自転車や公共交通手段を利用しています。国家公務員と国営企業の会社員は定年後定年証をもち、公園の無料入場ができます。離休幹部(1949年以前新中国の独立のために働いた人々)は離休証を持ち、無料で公共交通機関の利用が出来ます


鬼(グイ)街
 

食の問題は大きく改善されました。高級レストランの他に中小の食堂もたいへん増加しています。特筆すべきは夜間の営業が増えたことです。我が家の近くに、“gui(グイ)”(鬼街)とよばれる街があります。これは鬼の町の意味ではなく、この町が鬼のように夜眠らないのでこのようによばれています。この町の店は24時間営業しているので、夜になるとずっと“赤提灯が高く掲げられています”(赤い提灯は営業中を示す看板として使われています)。だから夜何時にいっても暖かい湯気の漂う食物が食べられ、東西南北どこの味も味わえます。ある夜の12時頃、私達は“爆肚王”で、おなかいっぱいに食べたあとの勘定は、たったの50元だけでした。公主墳附近の“紫玉飯店”では、“脆皮烤鴨”を食べました。烤鴨一切れを取り、甜面醤をつけ、細切り葱と面餅と一緒に口に入れると、口の中にジュウジュウと香りが満ち、やわらかながらもサクサクとした感触で、味はたいへんすばらしい。このご馳走は3人で200元以上(1人民元=14〜15日本円)。

中国でみられる広告の数はアメリカのモトローラ社の携帯電話と日本の電気機器が大多数を占めています。携帯電話の広告が多いのは、この会社が中国の広大な市場を掌握したからです。そして日本の広告が多いのは、日本商品が中国消費者の中で一定の地位を保っているからです。日本の電気機器と伝統工芸品はここ何年来ずっと信用を得ています。それは何故でしょうか?それは日本の製品は品質が世界でも第一流だからです。

この数年の中国の発展の速度は驚異的です。農副産物の増加で人々は“過食”の生活をおくるようになりました。糖尿病患者もたえず増加しています。皆が“肥満”問題に注意せざるをえなくなっています。また金持ちは益々富み、貧富の差がはっきりと現れてきています。いわゆる貧乏な人は国営企業で職を失った人々ですが、毎月の基本生活費は得ているといえども、これはやはり一種の失業状態です。

交通管理方面でもまだ改革が待たれます。もし人々が皆日本人のように交通規則を厳格に遵守する気持ちを持つならば、きっと近い将来北京は交通管理が実施でき、オリンピック大会を開催する事ができるでしょう。

確かに中国の現状は日本やアメリカに比べまだまだ相当の隔たりがありますが、先進国を見習う精神に私は感動を覚えました。この速度で発展を続ければ中国の前途は輝かしいものとなるでしょう。