井上登喜弥

もう大分前になりますが、私がロスアンゼルス郊外にある会社の財務部長をしていたときの話です。

ある朝オフィスに行くと、机の上にシカゴ支社で経理を担当しているキャロルからのファックスがありました。文面は、 

              Hi Tad, Ohio Gezumushu !
                           
  Send me money.
                                         
    Carol Rasumussen 

Tadは私のアメリカン・ネーム。ドイツ系のアメリカ人が「お早うございます」を英語流に発音すると「オハイオゲジムシ」になるらしい!?) 

烈火の如く怒って(?)シカゴに電話、「ゲジムシとは何だ! 金なんか送れるか!」...(と英語で言ったんだが、通じたかどうか)。そばで秘書のナオミがクスクス笑っていました。 

家に帰ってこのことをカミさんに話したら、彼女大笑い。以来、我が家ではキャロルのことを「ゲジムシ」と呼ぶようになりました。 

キャロルはなかなか良い子でした。彼女がロスアンゼルスに来たときは自宅に呼んだり、私がシカゴに出張したときは食事に誘ったりして、可愛がっていました。 

時折、ゲジムシの話を持ち出すと、真っ白い肌をピンクに染めて、”Oh, Tad! Don't !”それがまた、とっても可愛い。 

当時27才。ドイツ系のブロンド娘。離婚歴がありましたが、新しいボーイフレンドと交際中に妊娠。彼氏とはすぐ別れてしまいましたが、かわいい女の子を出産。彼女の言い分:

結婚はいつでもできるけれど、女には子供をつくる適齢期がある。私はどうしても子供が欲しかった。 

私が日本に戻ってから、別の男性と結婚、男の子と女の子を産み、3人の子育てで大奮闘。でも、とても幸せそうでした。最初の子が下の子供達の面倒をよく見てくれるそうです。何回か手紙と写真を送ってきました。